JR九州811系電車
JR九州811系電車 | |
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811系0番台を先頭とする8両編成 (2019年6月 渡瀬駅 - 南瀬高駅間) | |
基本情報 | |
運用者 | 九州旅客鉄道 |
製造所 | 近畿車輛 日立製作所 九州旅客鉄道小倉工場 |
製造年 | 1989年 - 1993年 |
製造数 | 28編成112両 |
運用開始 | 1989年7月21日 |
主要諸元 | |
編成 | 4両編成 |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 | 交流20,000 V・60 Hz (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 120 km/h |
設計最高速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 2.2 km/h/s[1] |
編成定員 | 0番台:510人(座席204人) 1500番台:597人 |
車両定員 | クモハ810形:120人(座席48人) クハ810形:118人(座席44人) 中間車:136人(座席56人) |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,670 mm |
車体 | ステンレス製 |
台車 | 円錐積層ゴム式ボルスタレス台車 DT50QA・TR235QA |
主電動機 | 直巻整流子電動機 MT61QA形 (0・100番台) かご形三相誘導電動機 MT405K形(1500番台) |
主電動機出力 | 150 kW (全番台) |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン駆動方式 (0・100番台) TD平行カルダン駆動方式(1500番台) |
歯車比 | 5.6(0・100番台) 6.53(1500番台) |
編成出力 | 150 kW×8 = 1,200 kW |
制御方式 | サイリスタ位相制御(0番台・100番台) SiCハイブリッドモジュール素子採用IGBT-VVVFインバータ制御(1500番台) |
制動装置 | 電気指令式 (発電ブレーキ併用)(0番台) (回生ブレーキ併用)(1500番台) |
保安装置 | ATS-SK、ATS-DK、EB装置、防護無線 |
備考 | 定員・質量は0番台のもの |
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811系電車(811けいでんしゃ)は、九州旅客鉄道(JR九州)の交流近郊形電車。
概要
北九州・福岡都市圏における快速列車の増発と老朽化した421系の置き換えを目的として開発され、1989年(平成元年)7月のアジア太平洋博覧会「よかトピア」の開催にあわせて営業運転を開始した[2]。
1993年(平成5年)までに4両編成28本、合計112両が製造された[3]。
車両概説
本項では、0番台落成時の仕様について述べる。
車体
軽量ステンレス構造で、両開き扉が片側3箇所に設置されている。全扉または中間扉のみの選択開閉(ドアカット)が可能である[4]。扉間に任意の位置で窓の開口が調整できるバランサ付きの一段下降窓が3枚配置される。窓ガラスは寸法を415系1500番台と共通にしたため、座席と窓配置は揃っていない。
車体は無塗装であるが、側面窓下部に青色と赤色の帯が互い違いに配されている。前頭部は白色塗装をした普通鋼およびFRP製[2] となっている。これは、211系などの三面折れ形にカーブ面を取り付け、スピード感を出したデザインとなっている[2]。また、運転台直下には"■NEW RAPID TRAIN 811"の赤いロゴが張られている。先頭車前面には貫通扉を設けているが、非常用のため幌も幌枠も設置されていない。その為、他編成や他形式(813系・817系・821系)と併結しても編成間の通り抜けはできない。
車両番号には、イタリック体フォントを使用している。このフォントは登場当時の783系と同様であったが783系はリニューアルにより四角囲みとなったため、現在もイタリック体フォントで表記されているのは811系のみとなっているが、リニューアル車は四角囲みとなっている。車両番号の前にはJRロゴが描かれている。
内装
快速列車を中心に臨時急行列車にも用いることを想定して、座席は転換クロスシートを採用した。モケットの色は青色(サニーブルー)と紫色(レイニーパープル)の2色で、各席とも左右で異なった色とされ、頭当ての部分は独立している。その後座席モケットについては紫色と黒の市松模様に張り替えられた。優先席は頭当ての色が他の座席のパープルに対しグレーとされている。さらに視認性を高めるために2006年(平成18年)末より「優先席」表示がされた枕カバー(白色)が装着された。当初喫煙車であった門司港方先頭車のクモハ810形では座席横の肘掛に灰皿を内蔵していたが、1995年(平成7年)にJR九州管内の普通列車が全面禁煙となったため現在は塞がれている。各座席には指定席とするための席番号表示器もあり指定席として使用することも可能となっている。また乗務員室にオルゴールチャイム装置を備える。
運転台左側には簡易的なモニター装置を備え各車の故障の発見、ユニットカットやモーター開放などといった故障時の対応が運転台から行えるようになった。また、運転台にはATS-DKの装置も搭載されている。
冷房装置は集中式のAU403K (42,000 kcal/h) を各車両の屋根上中央部に1基設置している。ラインフローファンによる配風方式としている。
トイレは下り方(荒尾・宇佐方)先頭車のクハ810形に設置されている。便器は和式である。また従来の近郊形電車には設置されていなかった大形くずもの入れが車端部(先頭車1箇所、中間車2箇所)に設置されている。
また、運転台後ろには温度計が設置されている。
主要機器
主回路制御方式は、架線からの交流20000Vを主変圧器で降圧した後に、サイリスタで構成された複数のブリッジ回路により、整流制御された直流電源で直流電動機のMT61QAを駆動する、サイリスタ位相制御である。主幹制御器(マスコン)で力行の1-4ノッチ投入時は95 %弱め界磁を行い[5]、5ノッチ投入時に70 %弱め界磁制御を行う[6]。主回路接続は、4基の電動機をすべて直列に接続したものを1回路として、これを2回路並列させた (4S2P) [6]。25 ‰上り勾配でMM'カットにより1Mでも勾配起動できる能力を持つという[2]。
MM'ユニットを採用し、M車(モハ811形)には主制御器と発電ブレーキ用の抵抗器が搭載されている。また、M'c車(クモハ810形)には主変圧器(TM401K)・サイリスタ・補助電源装置・集電装置が搭載される。
デビュー当初はTAc車を開発し2両編成にする構想や閑散時にT車を抜き3両編成とする構想もあった[5]。
電気ブレーキは発電ブレーキが採用された。これは、回生ブレーキを採用した783系の実運用時に、交流電化区間の閑散線区において回生ブレーキを使用した場合沿線にある変電所の力率を落とす現象が発覚し、それにより電力会社から受けるペナルティが回生ブレーキによる節電効果を上回ってしまったことからである。また、コストの兼ね合いから電気ブレーキ制御は783系のような無段階制御ではなく従来の415系などと同じカム軸制御となった[5]。また、120 km/h運転に対応するため100 km/h以上からブレーキを掛けた際に制動力を増加させる増圧ブレーキを備える。
サイリスタ(RS401KA) は主シリコン制御整流装置とも呼称される。1つのブリッジ回路に使用されているサイリスタ半導体素子 (2,500 V, 4,000 A) は4つ使用しており、8基の主電動機が接続される[6]。冷却方式としてフロン沸騰冷却方式を採用するが、今後はフッ化炭素冷却方式を採用予定であるとしている[6]。
空気圧縮機 (MH1084-C2000MQ) はレシプロ式を搭載する。補機用の電源として静止形インバータ (SC400K) を搭載するほか、主変圧器の2次側にある3次巻線も使用する。
集電装置 (PS101QB) は、菱形パンタグラフである。上り方(門司港方)先頭車のクモハ810形の連結面寄りに設置している。
台車はヨーダンパが付いた、軸箱支持装置が円錐積層ゴム式の空気ばね式の軽量ボルスタレス台車のDT50QA(電動車)/TR235QA(制御車・付随車)が採用されている[3]。
非常時の救援用として全段読替式のブレーキ読替装置およびジャンパ連結器を搭載し421系、423系、415系、783系などの車両と併結し相互に制動および力行が可能である。
1両あたりの消費電力は、415系を「100」とした場合、811系(登場時)は「約70%」(理論値)である[7]。
形式
- クモハ810形(上り方先頭車。主制御整流装置・パンタグラフ設置)
- モハ811形(中間電動車)
- クハ810形(下り方先頭車。トイレ・SIV・電動空気圧縮機設置)
- サハ811形
編成は八代方からクハ810形 - サハ811形 - モハ811形 - クモハ810形の4両固定編成である。サハ811形を抜いて3両編成を組むことも可能であるほか、機器類を若干変更してクモハ810形 - クハ810形の2両編成を組むことも可能な設計とされたが、2両・3両編成を組成した事はない。
車両番号は基本的には編成ごとに同じ番号で揃えられている。また編成自体にも「P xxx」の番号が与えられている[4]。「P」は本系列を示し、「xxx」は車両番号に対応している。車両に表示される編成番号は「P xxx」だが、正式な編成番号は「PMxxx」である。「M」は南福岡車両区所属であることを表す。また、先頭車前面に編成番号が表示されるが、他系列と異なりアルファベットと数字の間にはスペースが挿入される。
編成番号 | ← 八代・佐伯・早岐 門司港・佐世保 → | ||||
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クハ810形 (Tc') | サハ811形 (T) | モハ811形 (M) | クモハ810形 (Mc') | ||
P1・P5~8・P15 | 0番台 | 0番台 | 0番台 | 0番台 | |
P103・104・111 | 100番台 | 100番台 | 100番台 | 100番台 | |
P106 | 100番台 | 200番台 | 100番台 | 100番台 | |
P1504・1511・1512 | 1500番台 | 1500番台 | 1500番台 | 1500番台 | |
P2003・2009・2010・2013・2014・2016・2017 | 1500番台 | 2000番台 | 2000番台 | 2000番台 | |
P2101・2102・2107・2108・2110 | 1600番台 | 2100番台 | 2100番台 | 2100番台 | |
P7609 | 7600番台 | 1500番台 | 1500番台 | 7600番台 | |
P8105 | 7600番台 | 8200番台 | 2100番台 | 8100番台 |
番台区分
0番台
1989年(平成元年)にPM1-PM4、1990年(平成2年)にPM5-PM15、1991年(平成3年)にPM16、1992年(平成4年)にPM17の4両編成合計17本が製造されたが、PM2編成は2002年(平成14年)に発生した列車衝突事故により電動車2両(クモハ810・モハ811)が大破し、復旧されることなく制御車・付随車(サハ811・クハ810)も含めてすべて廃車された[8]。その後、クハ810-2(大牟田側先頭車)は九州鉄道記念館にある本系列の運転シミュレーターに転用された。
尚、PM17編成の座席仕様は次節の100番台と同一である。
100番台
1992年7月15日のダイヤ改正を前に製造されたマイナーチェンジ車である。扉寄りにある座席を固定式に変更したことで扉周辺の空間が拡がり混雑時の乗客の流動が改善され、定員が増加したが、座席数は変更されていない[9]。またつり革も増設され[9]、0番台より座席の厚みが薄くなった。
同改正までにPM101 - PM109の4両編成9本が製造され、1993年(平成5年)3月18日ダイヤ改正前にPM110, PM111の4両編成2本が増備された。
サハ811形200番台
サハ811形のみの番台区分で、201, 202の2両が存在する。団体臨時列車や臨時急行列車などの長距離運用に使用することを考慮して車端部にトイレを設置している[9]。その関係で定員は140人で座席定員は52名に減っているが、その他の構造は他車と同一である。201はPM105編成、202はPM106編成に組み込まれ、この2本はクハ810形と合わせて編成中に2箇所のトイレを有する[9]。なお、PM105編成はPM8105編成にリニューアルされた際、サハ811-201はサハ811-8201となり、トイレが撤去され、同時に検測機器室となった[10]。
サハ811-105, 106は存在せず、PM107以降はサハ811-107のように編成番号と車両番号は一致している。
改造
リニューアル車
新造から30年弱が経過したことを受け、車両の延命を目的に2016年7月に入場したPM4編成を皮切りにリニューアル工事が開始された。改造は小倉総合車両センターにて実施されている[11][12]。
機器類等はすべて刷新しており、制御方式はサイリスタ位相制御から、JR九州では初となる、日立製SiC素子とIGBT素子のハイブリッドモジュール適用のVVVFインバータ制御装置を内蔵した主変換装置(M'c車:PC408KA,M車:PC408KB)に変更された[* 1]。それに伴い主電動機も直流電動機から誘導電動機(MT405K)に変更されており[12]、給電装置もシングルアーム式パンタグラフ(PS401K)に変更された。電気ブレーキは発電ブレーキから回生ブレーキに変更されている[11]。車内照明もLED化され、徹底的な省電力化が行われた。結果、811系従来車に対し3割の消費電力削減[12]、415系と比較して消費電力が49 %[7] と、省電力化に成功した。
デザイン監修は水戸岡鋭治。水戸岡は、JR九州社内設計陣の訓練を兼ねた役割分担として、社内の設計者が練ったアイデアを最終的に仕上げる「監修」に留まった[13]。「Old is New ~伝統と革新の電車~」のコンセプトのもと、従来のデザインを大きく変えたデザインとしており、最新機器を搭載した新しい車両であることを表現している[12]。車体は前面白色・側面ステンレス無塗装を維持しつつも、前面貫通扉および側面にはJR九州の近郊系・通勤形で定着したCTロゴを新規に配し、側面帯は、青一色に白線および、白抜き文字で"Commuter Train 811"と表記され、811系では表記されていなかった英字社名も追加されている。これらは、従来の帯やCTロゴとは異なり、布端のピンキング(ギザギザ)の縁取りがされている[12]。また、運転台窓の赤い"■NEW RAPID TRAIN 811"のロゴも、青い"Commuter Train 811"ロゴに変更されている[12]。排障器の色も濃いグレーに変更されたほか、行先表示器はフルカラーLEDを使用したものに交換されている。
車内は、座席が転換式クロスシートからロングシートへ変更された。これは、ラッシュ時の混雑が激しくなってきたことに対応するためである。座席生地は「博多織や小倉織などのような九州の伝統的な織物」[14] をイメージしたデザインの青いモケットとなった。なお、優先席のみ赤いモケットとなっている。[12] 天井照明はLED照明に変更され、環境にやさしい設計となっている[12]。この他、窓ガラスはスモークガラスに変更され、カーテンは廃止された。連結部の仕切り戸には、813系1100番台と同様にシリンダーが取り付けられ、乗降扉にドアチャイムと鴨居下部に開閉ランプが設置された。また、ガラスとボディーとの隙間を平らにする加工を施している。また、LEDスクロール式案内表示器を設置している。トイレは洋式化され、向かい側に介助者用のジャンプシート付の車椅子スペースが配置された。また、吊革も増設された。車両連結面には、転落防止幌も設置された。さらに、クハ810形を除いて車椅子スペース設置改造を行われた編成があり、クハ810形を除く車両の車番および編成番号が+500された「2000番台」となった編成も存在する。
リニューアル第1号はPM1504編成となり、2017年3月31日に本線試運転並びにデータ収集のため小倉工場を仮出場した[15]。南福岡〜肥前浜間での本線試運転を繰り返した後再度入場し、4月15日に本出場した。その後、4月27日より営業運転が開始された。
2028年までに、現存する全27編成がリニューアルされる予定である[16][* 2]。改造費用は27編成で81億円[11]。
- リニューアル車の方向幕(一部種別は交互表示を行う)
- 運転台
- 車内
検測装置搭載改造車(『RED EYE』)
2018年10月及び2019年3月に、1500番台相当の改造内容に加え、営業列車検測装置を搭載した編成が2編成登場している。該当編成は元PM105編成と元PM109編成で、『RED EYE』と名付けられ、車両先頭の811のロゴの横にRED EYEロゴが付加され、先頭のCTロゴが赤いものに変更されている[17]。これらの編成は2020年4月1日から運用を開始した[17]。
- 両編成共通で、先頭車前方に鉄道総合技術研究所が開発した線路周辺画像解析エンジンを採用してNECグループ(日本電気・日本電気通信システム・NECソリューションイノベータの3社)が開発した、線路の状態を自動判定する「列車巡視支援システム」を搭載[17]。
- PM105編成には上記に加え、サハ811形200番台のトイレスペースを機器室として活用し、日立製作所と日立ハイテクファインシステムズが開発協力し、国内初となる車上4Kカメラを設置した「電車線路モニタリング装置」を設置[17]。
- なお、クハ810以外の3両に車椅子スペースが追加されている。
改造に伴い、営業列車検測装置を搭載した車両には+6000番の番号変更が行われ、リニューアル改造(+1500番)、車椅子スペース設置(+500番)と合わせて以下の車号変更が行われている。
- PM109:クハ810-109 - サハ811-109 - モハ811-109 - クモハ810-109
- → PM7609:クハ810-7609 - サハ811-1609 - モハ811-1609 - クモハ810-7609
- PM105:クハ810-105 - サハ811-201 - モハ811-105 - クモハ810-105
- → PM8105:クハ810-7605 - サハ811-8201 - モハ811-2105 - クモハ810-8105
その他
2008年現在では、全編成の排障器が813系と同様の乗務員室昇降ステップ組込み大型に交換されている。一部の編成では客室側窓の一部固定化改造も施工されているが、落成当初から扉間の中央と車端部以外の側窓が固定式とされている813系と異なるのは、車端部から一箇所おきに固定式とされている点である。
2005年(平成17年)春以降、車外スピーカーの設置が進められている。また、落成当初はドア周辺のみであったつり革がドア間の座席部分にも増設されている。これに伴い干渉する一部の吊り広告枠が移設された。
広告車両
スペースワールド号
スペースワールド色(第2次) | 車内の様子(モハ811) |
PM11編成はスペースワールドのPR車両として落成され、ラッピングのまま甲種輸送で近畿車輛より出場した。当初、車体には水色の帯が全体にわたって配され、側面中央には「スペースワールド」のロゴが描かれた[18]。スペースワールドのテーマに沿って宇宙空間をイメージした車内としており、化粧板・床敷物を青色基調とし、座席はパイロットシートに似せた背もたれの高いダークブルーの転換クロスシートとなっている[18]。側窓ガラスは着色ガラスを使用、座席端の仕切りはステンレス仕上げ、蛍光灯にはカバーが付いており、荷棚の化粧カバーは青色、壁に小型の壁灯を設置しているのも特徴である[18]。天井の中吊り広告は設置しておらず、車内にスペースワールドのテーマソングなどを流すテープ再生器を備えている[18]。
1996年(平成8年)秋にリニューアルされ、側面はロゴの代わりに「スペースワールド」のマスコットキャラクターなどのステッカーが貼付され、前頭部は白色から赤色に変更され、座席モケットも張り替えられた。また、"■NEW RAPID TRAIN811"のロゴは、白字で貫通幕に張られた。
当初は快速「スペースワールド号」に優先的に使用されていたが、当列車が消滅したことにより、他の編成と共通運用となった。
2009年1月に標準色に戻され、スペースワールド色は消滅した[19]。ただしこの時点では内装は変更されることなくそのまま使用されていた[8]。その後、2017年に内外装ともにPM4→PM1504編成と同様の仕様にリニューアルされてPM1511となり、同年11月2日に出場した。
三井グリーンランド号
1995年7月21日、三井グリーンランドのPRを目的に外装が変更された[20]。対象編成はP8・9編成で、車体全体に緑色の帯が配され、「三井グリーンランド」のPRステッカーが貼付された。内装は変更されていない。
排障器の色は外装変更の時点から両編成とも緑色だったが、P9は排障器を強化型に交換した際に灰色となっている(2007年3月現在。右の写真とは逆)。現在はP8も強化型の排障器に交換されているが、こちらは緑色とされた。車外スピーカー取付工事については後述する。
当初は快速「三井グリーンランド号」に優先的に使用されていたが、当列車が消滅したことにより、他の編成と共通運用となった。2007年7月に「グリーンランド」に名称変更された際、2編成とも車体側面の緑色の帯を廃し従来のオリジナルの塗装に戻され、広告・イラストステッカーも撤去された。ただし側面戸袋部の「NEW RAPID TRAIN 811」ロゴは存置された。P9編成のみ先頭車前面下部の緑色の帯がそのまま残っていたが、2009年に消され完全に原色に復元された。
日本テレコム広告車両
2006年、P101編成に日本テレコム(現ソフトバンク)のラッピング広告を施したもの。福岡ソフトバンクホークスの選手(順番に鳥越裕介・斉藤和巳・松中信彦・杉内俊哉)が描かれていた。運用は他編成と共通で2007年にラッピングが撤去され、元の塗装に戻っている。
門司港レトロ号(PM8)
九州鉄道記念館の開館5周年を記念し、P8編成にラッピングを施したもので、2008年3月29日から運行されていた[21]。主に九州鉄道記念館をはじめとする門司港レトロ地区の建物のイラストが描かれている。運用は他の編成と共通である。2013年8月からは同年8月9日に九州鉄道記念館が開館10周年を迎えた事を記念して、九州鉄道記念館10周年記念のラッピングが施されていた[3][8]。ラッピングには主に九州鉄道記念館に展示してある列車や門司港地区の観光名所などが描かれている。10周年記念セレモニーでは隣接する電留線にて展示された[22]。尚、この編成は、2015年12月の全般検査出場時に標準色に戻されている[23]。
わたせせいぞうラッピングトレイン
2019年(平成31年)3月10日、門司港駅グランドオープンに合わせて運行を開始した。北九州市にゆかりのある漫画家・イラストレーターのわたせせいぞうが描き下ろしたイラストをPM110編成の車体にラッピングした[24]。
日立物流ラッピングトレイン
2022年11月より運行を開始したラッピングトレイン。Pm106編成に施行され上からピンク•白•水色の順でドアを除く側面の窓下に貼られた。車内も広告が全て日立物流のものとなった。2023年3月3日~4日に解除された。
上記の他にも、どーもくん、CATS(P1編成に黒帯が塗装された)、ドラえもん のび太の恐竜2006、ポケモンシリーズなど期間限定でラッピングが行われた事例がある。
運用
全車南福岡車両区に配属されている[4]。2022年9月現在、以下の路線で運用されている[25]。
基本的に、鹿児島本線門司港駅 - 荒尾駅間の快速列車・普通列車としての運用が大半を占めている。朝夕のみ日豊本線や長崎本線での運用も存在する[25]。過去には臨時急行「ひのくに」の運用末期(1993年ごろ)に、小倉駅・博多駅 - 熊本駅・八代駅間での急行列車としての運用に充当されていた事もある。
2022年9月のダイヤ改正以降、日豊本線での運用の南限は中津までとなっている。以前は佐伯までの運用も存在していた[26]が、運用区間は次第に縮小され、同改正までのしばらくの間、宇佐が南限となっていた。2016年には大分地区でも代走運転した実績がある[27]。
2022年9月23日以降より、佐世保線(江北駅-佐世保駅)での定期運用が開始され、長崎県内にも定期運用で乗り入れるようになった。(それ以前からも臨時快速「有田陶器市号」の際は佐世保線に入線していた。2003年までは同線での定期運用があったため、約20年ぶりの再入線。)また、一方、長崎駅へは定期運用では入線したことがない(臨時列車の「旅博ながさき号」として入線したことはある)。また、八代駅まで、イベント時に臨時列車として入線することがある。また、九州新幹線新八代駅のアプローチ線・在来線接続ホーム(旧11番のりば)にも、九州新幹線部分開業に伴う試乗会のアクセス列車として813系と併結で乗り入れた実績がある。
脚注
注釈
出典
- ^ “九州鉄道記念館811系シミュレータ開発記2”. 音楽館. 2011年10月19日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b c d 大隈 信彦「快速列車の新しい仲間I JR九州811系交流近郊形電車」『鉄道ファン』1989年9月号(通巻341号)p.51-55
- ^ a b c 「811系」『普通列車年鑑 2015-2016』、イカロス出版、2015年8月、102頁、ISBN 978-4-8022-0030-1。
- ^ a b c 鉄道ダイヤ情報, p. 20.
- ^ a b c 電気車の科学 '89年10月号 「JR九州811系近郊電車」 九州旅客鉄道㈱運輸部車両課 立石祐輔
- ^ a b c d 諸星幸信、千崎文雄「JR在来線交流電車用電機品」(PDF)『富士時報』第62巻第8号、富士電機、1989年。 (インターネットアーカイブ)。
- ^ a b 九州を走るエコ車両(JR九州 環境報告書2017)-九州旅客鉄道(2017年10月1日、10月2日に オリジナル をアーカイブ化。)
- ^ a b c 鉄道ダイヤ情報, p. 21.
- ^ a b c d 鉄道ダイヤ情報, p. 22.
- ^ 鉄道ファン & 2019年3月18日掲載.
- ^ a b c JR九州「811系」リニューアル - 西日本新聞(2017年4月27日朝刊)
- ^ a b c d e f g h i 811系リニューアルして運行開始!(PDF) - 九州旅客鉄道(2017年4月25日。同日閲覧)
- ^ 「水戸岡さん離れではない」JR九州・青柳俊彦社長(4月25日) - 西日本新聞経済電子版(有料。2018年1月26日閲覧)
- ^ a b 初代車両リニューアル 通勤・通学用811系 - 毎日新聞(2017年4月26日付朝刊および電子版。同日閲覧)
- ^ 811系リニューアル車が試運転を実施 - railf.jp 2017年4月5日
- ^ 第35期有価証券報告書 - 九州旅客鉄道(2022年6月23日)、2023年1月15日閲覧
- ^ a b c d 〜営業車両を活用して在来線検査業務の効率化を推進〜『REDEYE』を導入します!(PDF) - 九州旅客鉄道(2020年3月25日、同日閲覧)
- ^ a b c d 交友社『鉄道ファン』1990年6月号新車ガイド2「JR九州811系"スペースワールド"号」pp.54 - 55。
- ^ “811系スペースワールド色が消滅”. 『鉄道ファン』鉄道ニュース(交友社) (2009年1月28日). 2012年10月16日閲覧。
- ^ “三井グリーンランド号 きょうからデビュー JR九州”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1995年7月21日)
- ^ “811系にラッピングトレイン「門司港レトロ号」”. 『鉄道ファン』鉄道ニュース(交友社) (2008年4月6日). 2012年10月16日閲覧。
- ^ “811系PM8編成に九州鉄道記念館10周年ラッピング”. 交友社 (2013年8月11日). 2015年12月24日閲覧。
- ^ “811系「門司港レトロ」ラッピング運行終了”. 2021年9月25日閲覧。
- ^ “JR九州811系「わたせせいぞうラッピングトレイン」門司港駅を発車”. マイナビニュース (2019年3月10日). 2019年3月10日閲覧。
- ^ a b 『普通列車年鑑 2015-2016』、イカロス出版、2015年8月、147 - 148頁、ISBN 978-4-8022-0030-1。
- ^ “811系が佐伯まで乗入れ”. 『鉄道ファン』鉄道ニュース(交友社) (2009年3月17日). 2012年10月16日閲覧。
- ^ 【JR九】811系PM9編成が大分地区で代走 - RM News (2016年8月22日。2016年8月24日閲覧)
参考文献
- * 交友社「鉄道ファン」1990年6月号新車ガイド2「JR九州811系"スペースワールド"号」(坂本 真治・九州旅客鉄道株式会社 運輸部車両課)
- 『鉄道ダイヤ情報』第346号、交通新聞社、2013年2月。
- 『レイル マガジン』第406号、NEKO PUBLISHING