四人の哲学者

『四人の哲学者』
イタリア語: Quattro filosofi
英語: The Four Philosophers
作者ピーテル・パウル・ルーベンス
製作年1611–1612年
種類板上に油彩
寸法167 cm × 143 cm (66 in × 56 in)
所蔵パラティーナ美術館フィレンツェ

四人の哲学者』(よにんのてつがくしゃ、: Quattro filosofi: The Four Philosophers)は、フランドルバロック期の巨匠ピーテル・パウル・ルーベンスが1611-1612年に板上に油彩で制作した肖像画である。1772年のヨハン・ゾファニーの絵画『ウフィツィのトリブーナ(英語版)』 (ロイヤル・コレクションウィンザー城) に表されている絵画のうちの1点で、18世紀末までにピッティ宮殿に移された。作品はナポレオン戦争中に略奪され、1800年にパリに持ち去られたが、1815年にフィレンツェに返還された[1]。現在、パラティーナ美術館に所蔵されている[1][2]

作品

この絵画は、ユストゥス・リプシウスが創設した新ストア学派哲学の運動と関連している[2]。彼は自身の3人の弟子とともに描かれている。左から右へ、本作を制作した画家ピーテル・パウル・ルーベンス、ルーベンスの兄で本作が制作される前 (1611年) に死去したフィリップ・ルーベンス(英語版)、ユストゥス・リプシウス、ヨアネス・ウォフェリウス(英語版)である[1][3]。リプシウスを描くために、ルーベンスはアブラハム・ヤンセンスの手になるリプシウスの肖像画を参照した[1]

人物たちの背後の壁龕には、ピーテル・パウル・ルーベンスが所有していたセネカ (ストア学派の代表の1人) の胸像がある[1][2]が、この胸像は現在、セネカではなく、古代ギリシアの詩人ヘシオドスを表した、ヘレニズム時代の想像による肖像であると考えられている。

胸像の傍らには、花瓶に生けられた4本のチューリップが描かれている。そのうちの2本は開ききっており、すでに逝去したリプシウス (1606年没) [1]とフィリップを象徴していると考えられる。『四人の哲学者』は『画家の兄フィリップ・ルーベンス』 (デトロイト美術館) 同様、ルーベンスが兄の死を悼んで制作したと考えられる[3]

背景に見えるローマパラティーノの遺跡は、本作が幅広い意味で古代文化にオマージュを捧げていることを示しており、ルーベンスの時代に失われたヘレニズム・ローマ時代の栄光が復活したことを象徴している[2]

ギャラリー

脚注

  1. ^ a b c d e f “I quattro filosofi. Autoritratto di Peter Paul Rubens col fratello Philipp, Juste Lipse e Jan Woverius”. Catalogo generale dei Beni Culturaliサイト (イタリア語). 2024年7月26日閲覧。
  2. ^ a b c d “The Four Philosophers”. Web Gallery of Artサイト (英語). 2024年7月26日閲覧。
  3. ^ a b 『ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア』、2013刊行、40頁

参考文献

外部リンク

  • Catalogo generale dei Beni Culturaliサイト、ピーテル・パウル・ルーベンス『四人の哲学者』 (イタリア語)
  • Web Gallery of Artサイト、ピーテル・パウル・ルーベンス『四人の哲学者』 (英語)
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