向井山朋子

向井山朋子
誕生日 1963年
出生地 和歌山県新宮市
芸術分野 ピアノ
舞台芸術インスタレーション
教育 インディアナ大学
アムステルダム音楽院
出身校 武蔵野音楽大学院
受賞 優勝
1991年 ガウデアムス国際現代音楽演奏コンクール
ウェブサイト multus.tomoko.nl
テンプレートを表示

向井山 朋子(むかいやま ともこ)は、アムステルダムを拠点に活動するピアニストアーティストディレクター

1991年ガウデアムス国際現代音楽演奏コンクール優勝。ソリストとしてロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団アンサンブル・モデルンロンドン・シンフォニエッタとも共演。1990年代より観客とお茶を飲んだりお喋りしながらピアノを弾く「リビングルーム」など、従来の演奏形式にとらわれない新しい形のステージを積極的に発表。ニューヨーク・リンカーンセンター[1]、パリ・オペラ座などの劇場から[2]、美術館[3][4][5][6]、個人宅、公共空間、時には瀬戸内海の島の魚市場までありとあらゆる空間、オンラインがプラットフォーム

2007年には「Tomoko Mukaiyama Foundation」をオランダで、2015年には日本で一般社団法人◯+(マルタス)を設立し自らアーティステックディレクターとしてプロデュースの分野でも活躍。音楽演奏の枠にとどまらず、インスタレーションと音楽を組み合わせた空間そのものを作りだす作品を世界各国の美術展などで積極的に発表。また、建築ファッションダンス映像など多分野とのコラボレーションによりジャンルを横断する作品を多数発表している。

主な作品

"Amsterdam X Tokyo" (2000年)

オランダの4都市と東京(青山スパイラルホール)で行われたピアノコンサート。 建築家グループ・デジタルPBXとコラボレーションした会場デザインは真白い空間に天井から金魚が1匹ずつ泳ぐ透明の袋がマトリックス状に無数に吊りさげられて話題となった。

"for you” (2003年-)

たった1人の観客のためのピアノ・リサイタル。2005年には客席数2020席の横浜みなとみらい大ホールにて行われた。横浜トリエンナーレ参加作品。

"you and bach" (2006年)

ピアノ作品、ノイズ、ガラス、光を使ったインスタレーション。シドニー・ビエンナーレ(英語版)参加作品[7]

"Tar and Feathers" (2006年-)

振付家イリ・キリアンネザーランド・ダンス・シアターとのコラボレーション[8]

"show me your second face" (2007年)

デザイナー、クラヴァース・ファン・エンゲレン(オランダ語版)との共同制作[9]。「ファッションと音楽の融合」と話題になる[8]

"夏の旅 - シューベルトとまちの音" (2007年)

東京、仙台、山形、岩手、札幌で各地の人々が採取した町の音にシューベルトの即興曲などのコラージュが重ねられ、演奏された観客参加型の作品。日本では同地を北上しながら演奏。その後、2008-2009年、ヨーロッパとアメリカで展開[8]

"wasted" (2009年)

世界の女性たちが参加した1万2000着の絹のドレスと経血とピアノ作品が織りなす壮大なプロジェクト[8][10]。 日本、インドネシア、オランダ、チェコを巡回[11]。その過程はドキュメンタリー映画『白い迷路 - Water Children』(2011年)として記録された[12]大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ参加作品[13]

"Nocturne 夜想曲" (2011年)

東日本大震災の津波被害により被災し使用できなくなった2台のピアノの1台に口紅を施すインスタレーション。 2011年、山形市東北芸術工科大学での初演後、2013年の瀬戸内国際芸術祭にも招聘され、香川県観音寺市伊吹島でインスタレーションを展示[14][15]。 2014年6月、オランダ最古・最大の舞台芸術祭オランダ・フェスティバル(英語版)にも参加[16][17]

"SHIROKURO" (2012年)

振付家のニコル・ボイトラー(オランダ語版) 、照明デザイナーのジャン・カルマンとの共作によるダンス作品。 日本での初演後、ヨーロッパを中心に巡回。ダンストリエンナーレトーキョー参加作品[18]。2014年10月には、オランダ国内の年間ベストダンス・パフォーマンス賞 Dioraphte Dance Award を受賞した[19]

"FALLING" (2013年)

照明デザイナーのジャン・カルマンとの共同でサミュエル・ベケットの戯曲「いざ最悪の方へ」から着想を得たインスタレーション、パフォーマンス。新聞紙、自動演奏のピアノと一般公募したパフォーマーによって、愛知県岡崎市のショッピングセンターの使われなくなったフロアの空間を一変させた。あいちトリエンナーレ参加作品[20]

"East Shadow" (2013年)

振付家のイリ・キリアン、もとネザーランド・ダンス・シアターⅢのダンサー、映像のジェイソン・アキラ・ソンマとともに作り上げた舞台作品。サミュエル・ベケットの「total nonsense(圧倒的不条理)」を背景に、津波の被害者に捧げられた。向井山は舞台音楽を担当。あいちトリエンナーレでの初演後[21]、ヨーロッパを巡回。

"Woman in the Dunes" (2016年)

オランダのテルスヘリング島で開かれるウーロル・フェスティバル(英語版)にて安部公房の同名小説をタイトルに持つ『Woman in the Dunes(砂の女)』を発表。砂丘にグランド・ピアノを設置し、デザイナーのティン・ゴンによる衣装、インスタレーションを舞台美術にしたパフォーマンスを行った。

"La Mode" (2016年)

「ファッション」をテーマに掲げた舞台作品 『La Mode』を発表[22]台湾台中市に2016年秋開館した台中国家歌劇院のこけら落とし公演の後、ダンスニューエアーの参加プログラムとして東京で公演。向井山朋子はピアノ演奏と芸術監督を努め、伊東豊雄建築設計事務所とテキスタイルデザイナーの安東陽子による舞台美術空間の中で、イタリアローマを拠点とするスペルバウンド・コンテンポラリーバレエのダンサーらがパフォーマンスを行い、舞台上での音楽・ダンス・インスタレーションが一体となり、「ファッション」という哲学に独自のアプローチを示した。

"HOME" (2016年)

インスタレーションとパフォーマンス。向井山が演出、音楽、映像、もとネザーランド・ダンス・シアターの日本人ダンサー湯浅永麻のパフォーマンス[23]、遠藤豊が技術監修を手掛けて、オランダ、フローニンゲンノーデルゾン・フェスティバル(英語版)[24]さいたまトリエンナーレ[25]ハーグコルゾシアター(オランダ語版)にて上演。

"雅歌" (2018年)

ウーロル・フェスティバル、高知県立美術館との共同制作で、自然、儀式を融合した作品『雅歌』をCo.山田うんを招いて制作、発表[26]。『雅歌』を題材に、初めての映画制作を手掛ける。

"ピアニスト" (2018年)

銀座メゾンエルメスフォーラムエルメスギャラリーで『ピアニスト』展を開催。連日1時間ずつ時差をともなう24日間[22][27]、全24回連続の全期間で約8000人を動員。

"A Live 1, 2, 3" (2020年)

コロナ禍で劇場が閉鎖するなか、チームと共にいち早く発表の場をオンラインで開拓、『A Live』ライブストリーミングシリーズを3作発表。(ロケーション:vol. 1 アムステルダム Muziekgebouw aan 't IJ、vol. 2 映画撮影スタジオ、vol. 3 ゴッホ美術館

"End and Beginning" (2020年)

ピアノ+打楽器(棺桶を連想させるような木箱)+8台のコントラバスからなる、映画人レニエ・ヴァン・ブルムレンとともに光のインスタレーション・コンサート『End and Beginning』を制作、オランダツアー。

"TWO - in transit Hara Museum" (2021年)

閉館間際の原美術館を舞台に音楽短編映画『TWO-in transit Hara Museum』を、森山未來を招き制作、オンライン配信。ドキュメンタリー/芸術/文化を専門とするオランダ公共テレビ NPO 2 Extra でも放映される。

"KUMANO" (2021年)

向井山の故郷でもある現実と非現実、身体と精神、神聖と穢れが混沌と共存する熊野からインスピレーションを得て、極私的な視点で熊野の世界を再構築したコンサート&ビジュアルインスタレーション作品

"gift" (2021年)

秋に開館した八戸市美術館の開館記念プロジェクトとして制作、発表した八戸市民と協働した音楽パフォーマンス作品

"Love Song" (2022年-)

各地域で活動する女性アーティスト、工芸家、クリエイターの魅力を活かした、ヴィジョンを持つ若い世代が主宰する自治体/NPOとの連携で人材育成、地域全体の向上、新しい観客のアウトリーチを試みるコンサートツアー

"Delirium" (2023年)

ウクライナ・オランダ人作曲家マキシム・シャリギンが作曲した4台のピアノのための作品『Delirium』をアムステルダム Muziekgebouw aan 't IJにて初演。オランダツアー

"figurante" (2023年)

茅葺き職人相良郁也と協働したインスタレーションパフォーマンス『figurante』を国際アートフェア — Tokyo Gendai TENNOZ ART WEEK 2023のメインプログラムとして寺田倉庫にて発表。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Anthony Tommasini (2018年10月11日). “Review: With ‘Tao,’ Philharmonic Dives Deeper Into Andriessen” (英語). The New York Times (The New York Times Company). https://www.nytimes.com/2018/10/11/arts/music/review-new-york-philharmonic.html 2024年7月13日閲覧。 
  2. ^ イリ・キリアン プログラム, Palais Garnier, Paris — レビュー
  3. ^ “Hara X Tomoko Mukaiyama X Reinier van Brummelen “TWO - in transit Hara Museum”” (英語). Hara Museum ARC. Events (2021年1月). 2024年7月13日閲覧。
  4. ^ “Tomoko Mukaiyama in het Van Gogh Museum” (オランダ語). NPO Klassiek (2020年7月10日). 2024年7月13日閲覧。
  5. ^ “Daisuke Yokota X Tomoko Mukaiyama” (英語). foam. Foam Fotografiemuseum Amsterdam (2017年3月). 2024年7月13日閲覧。
  6. ^ “Kochi Performing Arts Festival 2018: HOME” (英語). 高知県立美術館 (2018年). 2024年7月9日閲覧。
  7. ^ “You & Bach (Sydney Biennale)”. SUWA (2006年). 2024年7月13日閲覧。
  8. ^ a b c d “向井山朋子ピアノパフォーマンス”. 高知県立美術館. 舞台芸術 & 映画 (2010年). 2024年7月13日閲覧。
  9. ^ Hasegawa, Kanae (2019年10月23日). “異色のピアニスト向井山朋子が挑む、“人生を変えてしまうメロディー””. T, The New York Times Style Magazine: Japan. pp. 1-2. 2024年7月13日閲覧。
  10. ^ “Wasted”. AQT Design Office. 2024年7月13日閲覧。
  11. ^ “向井山朋子の新プロジェクト『wasted』”. ART iT. アートイット. 2024年7月13日閲覧。
  12. ^ “アート・ドキュメンタリー・プログラム”. 山形国際ドキュメンタリー映画祭. 2011カタログ. 2024年7月13日閲覧。
  13. ^ “wasted”. Echigo Tsumari. 作品・作家. Echigo Tsumari Executive Committee (2009年). 2024年7月13日閲覧。
  14. ^ “泥のピアノ、瀬戸内の小さな島へ。”. TUAD as Museum. 東北芸術工科大学美術館大学センター (2012年11月20日). 2013年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月13日閲覧。
  15. ^ 伊勢剛「特集 瀬戸内芸術祭 2013: 伊吹島」『朝日新聞DIGITAL朝日新聞社2024年7月13日閲覧。
  16. ^ “Nocturne; Dutch premiere” (英語) (2014年). 2015年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月13日閲覧。
  17. ^ “向井山朋子『Nocturne 夜想曲』がオランダフェスティバルに出展されます”. TRSO. 東北芸術工科大学 (2014年5月26日). 2024年7月13日閲覧。
  18. ^ “向井山朋子 + ニコル・ボイトラー + ジャン・カルマン”. ダンストリエンナーレトーキョー2012. 2012年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月13日閲覧。
  19. ^ Anouk Leeuwerink (2014年10月6日). “NBprojects wint Dioraphte Dansprijs met Shirokuro” (オランダ語). Theaterkrant. 2024年6月27日閲覧。
  20. ^ “向井山朋子 & ジャン・カルマンインタビュー”. ぴあ中部版web. インタビュー & レポート (2013年8月13日). 2015年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月13日閲覧。
  21. ^ 五十嵐太郎 (2013年9月15日). “イリ・キリアン「East Shadow」”. artscape. artscapeレビュー. 大日本印刷. 2024年7月13日閲覧。
  22. ^ a b “日々移り変わるギャラリー空間とピアノの音色。向井山朋子展「ピアニスト」が銀座メゾンエルメスで開催”. 美術手帖. カルチュア・コンビニエンス・クラブ (2018年12月14日). 2024年7月13日閲覧。
  23. ^ Manuel García Martinez (2016). “The Noorderzon Festival in Groningen”. European Stages (Martin E. Segal Theatre Center) 8 (1): 7-8. https://europeanstages.org/2016/10/19/the-noorderzon-festival-in-groningen/ 2024年7月13日閲覧。. 
  24. ^ “Performing Arts Festival Groningen 18-28 Aug 2016”. Noorderzon magazine 2016: 38. (2016-07-08). https://issuu.com/noorderzon/docs/magnz2016_ 2024年7月13日閲覧。. 
  25. ^ “向井山朋子・演出「HOME」”. さいたまトリエンナーレ2016. イベント. さいたまトリエンナーレ実行委員会. 2024年7月13日閲覧。
  26. ^ “雅歌 (GAKA)”. 高知県立美術館. 舞台芸術 & 映画 (2018年). 2024年7月13日閲覧。
  27. ^ Sumiyoshi, Chie (2019年2月15日). “時差で奏でる「ピアニスト」向井山朋子展。- 毎日4時間限定の展覧会とは?”. VOGUE JAPAN. 2024年7月13日閲覧。

外部リンク

  • 公式ウェブサイト
典拠管理データベース ウィキデータを編集
全般
  • ISNI
  • VIAF
  • WorldCat
国立図書館
  • フランス
  • BnF data
  • アメリカ
芸術家
  • MusicBrainz
  • オランダ美術史研究所データベース