ノルウェー舞曲
『ノルウェー舞曲』(ノルウェーぶきょく、独: Norwegische Tänze)作品35は、エドヴァルド・グリーグが1881年にピアノ連弾のために作曲した楽曲である[1]。4曲からなり、『4つのノルウェー舞曲』あるいは『ノルウェー舞曲集』とも呼ばれる。1887年にグリーグ自身によるピアノ独奏版も作られた。また、管弦楽版も作られたが、グリーグ自身は手を付けず、1882年にロベール・アンリック (Robert Henrique) が、その後1888年頃(出版は1891年)にハンス・ジットが編曲した。連弾版と独奏版、ジット編曲版の出版はいずれもライプツィヒのペータースから行われた[1]。
今日ではこの曲は主にジット編曲版で知られており、参考文献に挙げた『作曲家別名曲解説ライブラリー18』でもグリーグの管弦楽曲としてジット版に関する解説が収録されている。
グリーグはしばしば、自作のピアノ曲を管弦楽や弦楽合奏に自ら編曲しているが、この曲でそれを行わなかったのは、同国人で友人でもあったヨハン・スヴェンセンの『ノルウェー狂詩曲』(1870年代後半に全4曲を作曲、初演)を聴いて管弦楽法の輝かしさに衝撃を受け、似たような民謡的題材による管弦楽のスコアを書くことに気後れしたことによる[2]。なお、グリーグはエドゥアール・ラロのようなフランスの作曲家による編曲を希望していたが、それは実現しなかった[1]。
本作が素材としたのは、ノルウェーの民謡収集家ルドヴィグ・リンデマン(英語版)のコレクション『ノルウェー山地の民謡』に収録された民謡のいくつかである。グリーグは1867年、26歳の時にこの民謡集を知り、生涯にわたり影響を受けるとともに、他にもいくつもの作品で素材に使用している[3]。
初演
ジット版の編成
ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、トライアングル、ハープ、弦五部
演奏時間
順に約5分、約3分、約3分、約5 - 6分、計約16分[1]
楽曲構成
音楽・音声外部リンク | |
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レナード・バーンスタイン指揮、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団演奏の第2曲 Here on Archive.org |
- 第1曲
- アレグロ・マルカート。三部形式。軽快な舞曲主題と、中間部の素朴な牧歌風の旋律からなる。
- 第2曲
- アレグロ・トランクイロ・エ・グラツィオーソ。三部形式。おだやかな、そして優雅な舞曲主題と、中間部の激しい主題が鮮やかに対照をなす。
- 第3曲
- アレグロ・モデラート・アラ・マルチャ。三部形式であるが、最初の行進調の主題が、転調し音価が倍に拡大されて中間部の穏やかな旋律になっている。
- 第4曲
- アレグロ・モルト。導入部を持つ三部形式。導入部の主題はグリーグの創作によるもので、中間部にも音価を半分に縮めて現れる。
脚注
- ^ a b c d 音楽之友社 1994, p. 32.
- ^ 音楽之友社 1994, p. 33.
- ^ 音楽之友社 1994, pp. 32–33.
参考文献
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楽曲一覧 | |
管弦楽曲 | 交響曲 - 秋に - ノルウェー舞曲(ジット編曲) - 古いノルウェーのロマンスと変奏 - 抒情組曲 - 交響的舞曲 |
劇付随音楽 | ペール・ギュント - 十字軍の王シーグル |
弦楽合奏曲 | 2つの悲しき旋律 - ホルベアの時代から - 2つのメロディ - 2つのノルウェーの旋律 |
吹奏楽曲 | |
協奏曲 | ピアノ協奏曲 |
室内楽曲 | チェロソナタ - 弦楽四重奏曲 - ヴァイオリンソナタ(第1番 - 第2番 - 第3番) |
ピアノ連弾曲 | 2つの交響的作品 - ノルウェー舞曲 |
ピアノ独奏曲 | 7つのフーガ - ピアノソナタ - リカルド・ノルドローク追悼の葬送行進曲 - 抒情小曲集(トロルドハウゲンの婚礼の日(英語版)) - 人々の暮らしの情景(花嫁の行列の通過) - ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード - ホルベアの時代から - 古いノルウェーのロマンスと変奏 - スロッテル |
合唱曲 | 南の修道院の前で - オーラヴ・トリグヴァーソン |
歌曲 | 心のメロディ(ノルウェー語版)(君を愛す) - 4つの詩op.21(初めての出会い) - 「ペール・ギュント」からの歌曲(ソルヴェイグの歌 - ソルヴェイグの子守唄) - 王女 - ヘンリク・イプセンの6つの詩(吟遊詩人の歌 - 白鳥) - 5つの詩op.26(初めての桜草)- 12のメロディop.33(春) - ロマンス集op.39(モンテ・ピンチョから) - 6つの歌op.48(世の中はそうしたもの) - ヴィルヘルム・クラグの詩(待つ間に) - 山の娘(英語版、ノルウェー語版) |