ジョン・ロック講義(じょんろっくこうぎ、John Locke Lectures)とは、オックスフォード大学で年に一度行われる哲学の記念講義である。スコットランドの大学で行われるギフォード講義と並んで、世界で最も名誉ある学術記念講義の一つである。1950年にヘンリー・ワイルドの遺産をもとに開始された。
最初の講義にはルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインが招かれていたが、辞退された。ウィトゲンシュタインの伝記によると、質疑応答の時間がない形式的な講義を快く思わなかったからだという。
講師リスト
最初の予定では、2年に一度不定期に開催することになっており、第一回講義(1950-1951年)が行われたあと、第二回(1952-1953年)は不開催であった。1969年から2001年にかけて、講義は次第により頻繁に開催されるようになった。2001年からは、講義記録が電子版で公開されている。
年 | 講師 | 講義記録の書籍化 | 1950–1951 | エーツ・コーク・ブーズマ | | 1954–1955 | 王浩(ハオ・ワン) | | 1955–1956 | アーサー・プライアー | Time and Modality (1957) | 1957–1958 | A. C. ジャクソン | | 1959–1960 | グレゴリー・ヴラストス | | 1961–1962 | ネルソン・グッドマン | | 1963–1964 | ヤーッコ・ヒンティッカ | | 1965–1966 | ウィルフリド・セラーズ | Science and Metaphysics | 1967–1968 | ポール・ロレンツェン | | 1968–1969 | ノーム・チョムスキー | | 1969–1970 | ドナルド・デイヴィドソン | On the Very Idea of a Conceptual Scheme(「概念枠という考えそのものについて」、野本和幸、植木哲也、金子洋之、高橋要訳『真理と解釈』勁草書房、1991年、収録) | 1971–1972 | シドニー・シューメーカー | | 1973–1974 | ソール・クリプキ | Reference and Existence | 1974–1975 | リチャード・ブラント | | 1975–1976 | ヒラリー・パトナム | | 1976–1977 | なし | 1977–1978 | なし | 1978–1979 | ポール・グライス | Aspects of Reason(「理性の諸相」、 岡部勉編訳『理性と価値――後期グライス形而上学論集』勁草書房、2013年、収録) | 1979–1980 | デイヴィッド・カプラン[1] | | 1980–1981 | なし | 1981–1982 | なし | 1982–1983 | ダニエル・デネット | Elbow Room: The Varieties of Free Will Worth Wanting | 1983–1984 | デイヴィド・ルイス | | 1984–1985 | なし | 1985–1986 | なし | 1986–1987 | バリー・ストラウド | The Quest for Reality (2000) | 1987–1988 | なし | 1988–1989 | なし[2] | 1989–1990 | トマス・ネーゲル | Equality and Partiality | 1990–1991 | ジョン・マクダウェル | Mind and World(神崎繁、河田健太郎、荒畑靖宏、村井忠康訳『心と世界』勁草書房、2012年) | | | 年 | 講師 | 講義記録の書籍化 | 1991–1992 | ジョナサン・ベネット | | 1992–1993 | タイラー・バージ | | 1993–1994 | なし | 1994–1995 | フランク・ジャクソン | From Metaphysics to Ethics | 1995–1996 | なし | 1996–1997 | ジェリー・フォーダー | Concepts:Where Cognitive Science Went Wrong | 1996–1997 | ロバート・ノージック | Invariances (2001) | 1997–1998 | ローレンス・スクラー | | 1998–1999 | なし | 1999–2000 | なし | 2000–2001 | バス・ファン・フラーセン | | 2001–2002 | クリスティン・コースガード | Self-Constitution: Agency, Identity, Integrity (2009) | 2002–2003 | キット・ファイン | Semantic Relationism (2007) | 2003–2004 | ジョナサン・バーンズ | Truth, etc. (2007) | 2004–2005 | アーネスト・ソウザ | A Virtue Epistemology: Apt Belief and Reflective Knowledge, Volume 1 (2007) | 2005–2006 | ロバート・ブランダム | Between Saying and Doing (2008) | 2006–2007 | ロバート・スタルネイカー | Our Knowledge of the Internal World (2008) | 2007–2008 | ハートリー・フィールド | | 2008–2009 | トマス・スキャンロン | Being Realistic about Reasons (2013) | 2009–2010 | デイヴィッド・チャーマーズ | Constructing the World (2012) | 2010–2011 | ジョン・クーパー(英語版)[3] | Ancient Greek Philosophies as a Way of Life | 2012 | スティーヴン・ヤブロ | | 2013 | ネッド・ブロック | | 2014 | マーサ・ヌスバウム | | 2015 | レイ・ラングトン | 2016 | セオドア・サイダー(英語版) | 2017 | マイケル・アンドリュー・スミス(英語版) | 2018 | ピーター・レイルトン(英語版) | 2019 | フィリップ・ペティット | 2020 | スーザン・R・ウルフ(英語版) | 2022 | アンゲリカ・クラッツァー | 2023 | ジェニファー・ネーゲル(英語版) | |
脚注
- ^ 延期
- ^ エルンスト・トゥーゲントハットが講義する予定だったが病気のため辞退。
- ^ “John Cooper's Profile at Princeton”. 2012年1月3日閲覧。
外部リンク
- John Locke Lectures - 講義リスト。一部の講義記録が公開されている。