シャンティ

曖昧さ回避 シャンティ」のその他の用法については「シャンティ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
仏教
波羅蜜
 
十波羅蜜
布施
持戒
出離
精進
忍辱
真諦
誓願
   
六波羅蜜
布施
持戒
忍辱
精進
禅定
 
同色は両者に存在する項目

シャンティ (サンスクリット: शान्तिः (śāntiḥ), サンスクリット語発音: [ɕaːntɪh]ヒンディー語: शम (śam)、英語: Shanti) の、本来の意味は憎悪の感情のない友愛に満たされた状態で、戦争の対義語である「平和」のことである[1]。 社会的外面的「平和」から、内面的な「平穏」・「寂静」も意味し[2]ヒンドゥー教ヨガ仏教などにおいて追求される「心の平安」、「内なる平和」のことである。英語では音訳でshanti、その訳としてinner peace、漢訳では「寂」[要出典]、または「羼提」と訳される[3]。当記事では梵語のShantiとそれにちなむ項目について記述する。

宗教

ヨガにおけるマントラでは、「Om Shanti Shanti Shanti」とシャンティが三度唱えられる。この三唱により体・心・スピリッツを平安に導くものである[4][5]。この三唱については、自分・周囲・世界の三位の平和を祈るとするものもある[6][7]。またこのシャンティ三唱のマントラはヒンズー教や仏教の行の終わりにも参加者の平安を祝福するものとして唱えられる[4]

「:en:Shanti Mantras」も参照

シャンティ(inner peace)の概念は、近年マハトマ・ガンディーサティヤーグラハの思想や、サティヤ・サイ・ババなどの教え、さらには世界的に普及しているヨガなどの影響で広く知られてきている[8]

仏教においては、波羅蜜のen:Kshanti (クシャーンティ)であり、中国語でzh:忍_(佛教)と表わされている[9]。日本語では六波羅蜜の「忍辱波羅蜜(羼提: せんだい、Kṣānti (クシャーンティ))」であり、耐え忍ぶことを意味している[10]。苦難迫害を耐え忍び、動じない安らぎ・平穏を得る為の悟りの行である[11][12]。 忍耐・寛容の行の末に心の平穏を得るものである。

その他の用法

シャーンティデーヴァ(寂天)

詳細は英語版の「en:Shanti」を参照。

平和・平安を意味するシャンティは、女性の名前として人気がある。インド神話においてはダクシャとShraddhaの娘の1人の名がシャンティであり、 DharmaやAtharvanの妻もシャンティという名であった。ドゥルガーの名もシャンティであり、ガネーシャの50のシャクティの一つもシャンティである[13]

人物・組織

シャンティ・スナイダー 20110630 Japan Expo 34 (Paris, France)

インドではポピュラーな名前であるが、日本においてもヨガスタジオやインド料理店から、由来は不明だが喫茶店美容院などの店名などに使われている。

  • 「en:Shanti_Project」 - 1974年にカリフォルニア州バークレーで発足した、HIV/AIDSなどの生命に関わる難病の罹患者を援助するプロジェクトである。
  • 「en:Shanthi_Sena」 - 1978年にスリランカで発足した青少年による平和活動団体である。
  • シャンティ国際ボランティア会 - 1981年発足の難民支援・児童教育支援を行う国際NGO。

地名・建造物

Visva-Bharati大学の創立50周年を記念したタゴールの肖像と学舎の画像の切手(1971)
Shanti Stupa
  • 「en:Shanthi_Nagar」 - インドのテランガーナ州・en:Nalgonda市の地区である。Nagarはサンスクリット語で町を意味しており、Shanthi_Nagarは「平和な町」という意味である[注 1]
  • シャンティ・ニケータン(英語版)」 - インド西ベンガル州ビールブーム県(英語版)ボールプル市(Bolpur)近郊の地名である。ニケータンはサンスクリット語で住処を意味しており地名の意味は「平和の郷」である。シャンティ・ニケータンはノーベル文学賞受賞者のラビンドラナート・タゴールが設立したビシュバ・バーラティー インド国際大学(英語版)のある学園都市である[14]
  • 「en:Shanti_Stupa」 - インドのジャンムー・カシミール州ラダックのen:Leh_districtにある仏塔である。1991年に日本人比丘中村行明(英語版)が建立[15]
  • 「en:Shanti_Stupa, Pokhara」 - 日本山妙法寺大僧伽藤井日達の指導の下に「Morioka Sonin」が、1999年にネパールポカラに建立。

音楽・映像作品

島谷ひとみ

インドではシャンティとタイトルのつく多くの映画やテレビ番組が制作されている。

注釈

  1. ^ インドにはいくつもの同名の町が存在する。

出典

  1. ^ hi:शान्तिのGoogle Translate(英語へ)より。
  2. ^ 英辞郎 "Shanti"
  3. ^ 「般若波羅密多心經講要(星雲法師)」
  4. ^ a b YOGAPEDIA "Shanti"
  5. ^ yoga journal "5 Sanskrit Words Every Yogi Should Know"
  6. ^ ヨガジャーナル日本版 「これだけは知っておきたいヨガ用語7つ【前編】ヨガで3回唱える「シャンティ」の意味とは?」
  7. ^ ヨガワールド自由が丘 「ヨガのキーワード」
  8. ^ de:Shanti_(Sanskrit)#Moderne_Verwendungより
  9. ^ 英語版・中国語版における記述
  10. ^ 中山身語正宗 「六波羅蜜(3)忍辱」
  11. ^ kotobank 「忍辱波羅蜜」
  12. ^ kotobank 「忍辱」
  13. ^ de:Shanti_(Sanskrit)#Als_Eigennameより
  14. ^ kotobank - 平凡社世界大百科事典 「シャンティニケータン」
  15. ^ ブッダ会 「多重化するアイデンティティ」