サンドピアリス

サンドピアリス
欧字表記 Sand Peeress[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 1986年5月17日[1]
死没 2007年6月14日(21歳没)[2]
ハイセイコー[1]
イエンライト[1]
母の父 イエラパ[1]
生国 日本の旗 日本北海道静内町[1]
生産者 岡田牧場[1]
馬主 (株)ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン[1]
調教師 吉永忍栗東[1]
競走成績
生涯成績 18戦3勝[1]
獲得賞金 1億2767万4400円[1]
勝ち鞍
GI エリザベス女王杯 1989年
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サンドピアリス[1]は、日本競走馬および繁殖馬1989年エリザベス女王杯を最低人気で制した。20頭立て20番人気・単勝配当43,060円はグレード制施行後のGI記録で、2022年現在も破られていない[注釈 1]。2007年6月14日に老衰で死亡した。

名前の由来

サンドピアリスとは「砂の貴婦人」という意味である。元々、母・イエンライトは中央競馬でダートで10勝を挙げていた馬、父・ハイセイコーは公営出身の名馬であり、サンドピアリスもエリザベス女王杯に出る前に挙げていた2勝はいずれもダートでのものだった。

エリザベス女王杯

春にダートで2勝したサンドピアリスだが、芝では京都4歳特別で0秒5差とはいえ9着に敗れるなど2戦2敗であった。秋は900万下のダートに3回出走するが、いずれも掲示板外に敗れている。そんな馬がエリザベス女王杯に使われたのは、馬主のヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンが「(一口馬主としての)初年度募集馬をGIに出走させたい」と考え、また、吉永忍調教師も「主戦騎手岸滋彦[注釈 2]をGIに出走させてやりたい」と考えた為であった。そんなサンドピアリスは「20頭立ての20番人気」と人気が全くないのも無理はなく、関西テレビ杉本清アナウンサーは、最後の直線で「外を通りまして3枠から一頭サンドピアリスだ…、おおなんとサンドピアリスだ」と一瞬絶句した後にサンドピアリスの名前を伝え、ゴール前では「しかしびっくりだ、これはゼッケン番号6番、サンドピアリスに間違いない!」と実況した。後に杉本は著書で「なんぼなんでも、この馬はないな」と思っていたサンドピアリスが伸びてきて、それ以外に「ヤマフリアルやシンビクトリーといった人気薄の馬ばかり伸びてくる」ため「そりゃもう、焦ったなんてレベルじゃない。焦って焦って焦りまくった」と記している[3]。実際、翌日に馬主関係者と対面した際には、挨拶代わりに「杉本さん、サンドピアリスに間違いなかったですね」とからかわれたという[3]

エリザベス女王杯の勝利は陣営にとっても予想外の出来事に映り、騎手の岸と調教師の吉永にしても、勝利インタビューで「サンドピアレス…」と馬の名前を最後まで間違えて答えていた。

このレースは優勝したサンドピアリスが最低の20番人気、2着10番人気、3着14番人気と人気薄が立て続けにゴールし、逆に1番人気のシャダイカグラが競走中の故障により最下位に沈んで単勝配当43060円と言う超大穴配当となった。この当時は単勝、複勝、連勝複式(現・枠連)の3種類しかなかったため、単勝配当に目がいってしまうが、後に馬連、ワイド、馬単、3連複、3連単と投票方法が増えていく毎に、このレースの推定配当金額が机上理論で語られる様になっている。

エリザベス女王杯優勝以後

エリザベス女王杯優勝以降はダートに戻る事はなく全て芝のレースを使われた。5歳(現年齢表記:4歳)以降は、当時は古馬が出走可能な牝馬限定GI競走が皆無であったことから、必然的に牡馬との対戦となり、苦戦が続いた。1990年宝塚記念有馬記念ともに選出され出走したが、それぞれ9着・15着と大敗している。GII以下の競走では度々掲示板に載る事もあり、特にエリザベス女王杯を制した京都でなおかつ同距離で行われた京都大賞典では6頭立ての少頭数であったが、勝馬のスーパークリークから0.1秒差の3着と好走している。6歳(現年齢表記:5歳)は日経新春杯7着の後、引退レースとなった京都記念も当時はエリザベス女王杯と同じ距離であった[注釈 3]事から、勝馬のプリンスシンから0.2秒差の2着で現役生活を終えた。なお、このレースでは岸ではなく加用正が騎乗している。

競走成績

以下の内容は、netkeiba.com[4]およびJBISサーチ[5]に基づく。

年月日 競馬場 競走名 距離(馬場)


オッズ(人気) 着順 タイム
(上り3F/4F
着差 騎手 斤量
(kg)
勝ち馬/(2着馬)
1989.03.04 阪神 4歳新馬 ダ1200m(稍) 12 6 7 11.8(6人) 1着 1:13.8 (50.0) -0.7 岸滋彦 52 (ロータスナムラ)
0000.03.19 阪神 報知杯4歳牝馬特別 GII 芝1400m(良) 12 5 8 36.8(9人) 9着 1:25.2 (50.2) -2.4 土肥幸広 54 コクサイリーベ
0000.04.01 阪神 れんげ賞 400 芝1200m(稍) 16 6 11 21.5(10人) 8着 1:13.0 (48.9) -1.3 岸滋彦 53 ゴールデンリッカ
0000.04.16 阪神 4歳400万下 ダ1800m(不) 7 6 6 07.3(4人) 1着 1:54.6 (52.1) -0.3 岸滋彦 52 (リープハーバサージ)
0000.05.07 京都 京都4歳特別 GIII 芝2000m(重) 17 2 4 70.9(14人) 9着 2:06.3 (51.8) -0.5 岸滋彦 53 スターサンシャイン
0000.09.23 阪神 秋分特別 900 ダ1800m(稍) 11 5 5 05.2(3人) 8着 1:54.3 (52.7) -1.6 岸滋彦 53 カルストンペガサス
0000.10.07 京都 4歳上900万下 ダ1800m(良) 13 3 3 07.4(4人) 9着 1:53.9 (52.0) -1.8 岸滋彦 52 メイショウシーマー
0000.10.28 京都 4歳上900万下 ダ1800m(良) 14 5 8 08.2(5人) 6着 1:53.6 (49.7) -0.5 岸滋彦 52 ラッキードール
0000.11.12 京都 エリザベス女王杯 GI 芝2400m(良) 20 3 6 430.6(20人) 1着 2:28.8 (48.9) -0.2 岸滋彦 55 (ヤマフリアル)
1990.05.27 阪神 エメラルドS OP 芝2500m(良) 7 1 1 08.8(4人) 6着 2:36.9 (50.8) -1.5 岸滋彦 56 ショウリテンユウ
0000.06.10 阪神 宝塚記念 GI 芝2200m(良) 10 7 8 96.9(10人) 9着 2:16.6 (50.5) -2.6 岸滋彦 54 オサイチジョージ
0000.07.08 中京 高松宮杯 GII 芝2000m(良) 14 5 8 37.3(10人) 5着 2:00.4 (35.6) -1.0 岸滋彦 55 バンブーメモリー
0000.09.16 中京 朝日チャレンジC GIII 芝2000m(不) 11 1 1 07.9(4人) 5着 2:02.4 (37.0) -0.5 岸滋彦 55 ファンドリポポ
0000.10.07 京都 京都大賞典 GII 芝2400m(重) 6 4 4 20.4(5人) 3着 2:27.0 (46.2) -0.1 岸滋彦 57 スーパークリーク
0000.11.18 東京 アルゼンチン共和国杯 GII 芝2500m(良) 15 8 15 09.1(5人) 6着 2:33.4 (35.5) -0.5 岸滋彦 56 メジロモントレー
0000.12.23 中山 有馬記念 GI 芝2500m(良) 16 3 6 79.7(15人) 15着 2:35.4 (35.8) -1.2 岸滋彦 55 オグリキャップ
1991.01.20 京都 日経新春杯 GII 芝2200m(良) 9 5 5 28.9(6人) 7着 2:15.0 (47.4) -1.4 岸滋彦 55 メルシーアトラ
0000.02.17 京都 京都記念 GII 芝2400m(稍) 11 7 9 35.2(9人) 2着 2:25.9 (47.4) -0.2 加用正 56 プリンスシン

繁殖牝馬時代

タマモストロング

競走生活引退後は故郷の岡田牧場で繁殖馬生活に入った。同期のシャダイカグラライトカラーは有力な産駒には恵まれなかったのに対し[注釈 4]、サンドピアリスは繁殖牝馬としてダート交流戦の雄、タマモストロングを出して成功を収めている。

サンドコロネット、サンドハーブ、サンドピクチャーの3頭は繁殖入りしている。サンドコロネットの子テイエムゲンキボは荒尾九州記念肥後の国グランプリに優勝、サンドピクチャーの子タマモリターンが兵庫県競馬組合園田競馬場の荒山義則厩舎に入り、2008年12月31日に開催された第37回園田ジュニアカップに優勝した。

2005年産の産駒を最後に繁殖生活からは退いていたが、2007年5月末にフレグモーネを発症し、疼痛などで体調が悪化、スタッフによる看護が続けられたが、同年6月14日朝に老衰のため、繋養先の岡田牧場で死亡した。21歳(現年齢表記)[6]。なお、新ひだか町のオーマイホースパーク(桜舞馬公園)に「功労繁殖雌馬之碑」が建立されており、同馬の名も刻銘され合祀されている[7]

産駒一覧

生年 馬名 毛色 馬主 管理調教師 戦績 主な勝利競走 供用 出典
初仔 1992年 サンドコロネット 鹿毛 ファストトパーズ 岡田義一 道営・北川數男 5戦2勝 (繁殖牝馬) [8]
2番仔 1993年 (サンドピアリスの1993) (不明) クリエイター (不出走) [9]
3番仔 1994年 サンドピクシー 栗毛 ロドリゴデトリアーノ (株)ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン 栗東・吉永忍 13戦0勝 [10]
4番仔 1995年 タマモストロング 鹿毛 スキャン タマモ(株) 栗東・吉永忍
→栗東・川村禎彦
→栗東・佐藤正雄
31戦11勝(うち地方12戦3勝) マーチS
白山大賞典
さくらんぼ記念
かしわ記念
[11]
5番仔 1996年 サンドハーブ 栗毛 エルハーブ 岡田義一 栗東・吉永忍
→栗東・川村禎彦
→栗東・宮徹
47戦1勝 (繁殖牝馬) [12]
6番仔 1998年 (サンドピアリスの1998) 鹿毛 フォーティナイナー (不出走) [13]
7番仔 1999年 サンドピクチャー 栗毛 アフリート タマモ(株) 栗東・佐藤正雄 10戦0勝 (繁殖牝馬) [14]
8番仔 2001年 タマモサンドスキー ピルサドスキー 8戦1勝 [15]
9番仔 2002年 (サンドピアリスの2002) (不明) パントルセレブル (不出走) [16]
10番仔 2003年 サンドプロミネンス 鹿毛 ピルサドスキー (株)ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン
→村田裕子
栗東・佐藤正雄
→西脇・野田学
8戦0勝(うちJRA3戦0勝) [17]
11番仔 2004年 ボージョボー 栗毛 カリズマティック 青山洋一 栗東・友道康夫
川崎・高月賢一
25戦4勝(うちJRA6戦0勝) [18]
11番仔 2005年 サンドヴィーナス 黒鹿毛 マンハッタンカフェ 岡田隆寛 美浦武市康男 1戦0勝 (繁殖牝馬) [19]

血統表

サンドピアリス血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ロックフェラ系

ハイセイコー
1970 鹿毛
父の父
*チャイナロック
China Rock
1953 栃栗毛
Rockefella Hyperion
Rockfel
May Wong Rustom Pasha
Wezzan
父の母
ハイユウ
1961 黒鹿毛
*カリム
Karim
Nearco
Skylarking
*ダルモーガン
Dalmogan
Beau Son
Reticent

イエンライト
1976 黒鹿毛
*イエラパ
Yelapa
1966 黒鹿毛
Mossborough Nearco
All Moonshine
Your Point Nirgal
Your Game
母の母
テツザンヒメ
1967
*ゲイタイム
Gay Time
Rockefella
Daring Miss
ウエーライト *ハロウェー
グリンライト
母系(F-No.) (FN:3-l) [§ 2]
5代内の近親交配 Rockefella 3×4=18.75% Nearco 4×4=12.50% [§ 3]
出典
  1. ^ [20]
  2. ^ [20]
  3. ^ [20]


脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ グレード制施行前では、優駿競走(現・東京優駿)でタチカゼが単勝55430円を出している。
  2. ^ 前週の菊花賞でGI騎乗の予定だったが、騎乗馬のムービースターが除外となって落ち込んでいた。
  3. ^ 京都記念は1993年まで芝・外回り2,400m・ハンデ戦での施行であった。1994年から日経新春杯と競走条件を入れ替える形で芝・外回り2,200mの別定戦(ただし、変更初年の1994年は京都競馬場改修工事の影響で阪神競馬場・芝2,200mでの開催)となり、現在も同条件で定着している。
  4. ^ ライトカラーは繁殖入りして間もない1993年に骨折により死亡、シャダイカグラも2005年に死亡している。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o “サンドピアリス”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年8月30日閲覧。
  2. ^ “エリザベス女王杯優勝馬サンドピアリスが死亡”. 競馬ブック. 2021年11月11日閲覧。
  3. ^ a b 『あなたのそして私の夢が走っています』(杉本清著、双葉社、1992年)pp.188 - 191
  4. ^ “サンドピアリスの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年8月30日閲覧。
  5. ^ “サンドピアリス 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年8月30日閲覧。
  6. ^ エリザベス女王杯優勝馬サンドピアリスが死亡 - 競馬ブック 2007年6月21日
  7. ^ サンドピアリスが老衰のため死亡 - 競走馬のふるさと案内所 2007年06月16日
  8. ^ “サンドコロネット”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  9. ^ “(サンドピアリスの1993)”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  10. ^ “サンドピクシー”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  11. ^ “タマモストロング”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  12. ^ “サンドハーブ”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  13. ^ “(サンドピアリスの1998)”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  14. ^ “サンドピクチャー”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  15. ^ “タマモサンドスキー”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  16. ^ “(サンドピアリスの2002)”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  17. ^ “サンドプロミネンス”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  18. ^ “ボージョボー”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  19. ^ “サンドヴィーナス”. JBISサーチ. 2019年8月30日閲覧。
  20. ^ a b c “血統情報:5代血統表|サンドピアリス”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2017年3月19日閲覧。

関連項目

人気二桁番台でGI級競走を制した競走馬

外部リンク

   

国際競走指定前:
01回(1976年) ディアマンテ
02回(1977年) インターグロリア
03回(1978年) リードスワロー
04回(1979年) ミスカブラヤ
05回(1980年) ハギノトップレディ
06回(1981年) アグネステスコ
07回(1982年) ビクトリアクラウン
08回(1983年) ロンググレイス
09回(1984年) キョウワサンダー
第10回(1985年) リワードウイング
第11回(1986年) メジロラモーヌ
第12回(1987年) タレンティドガール
第13回(1988年) ミヤマポピー
第14回(1989年) サンドピアリス
第15回(1990年) キョウエイタップ
第16回(1991年) リンデンリリー

第17回(1992年) タケノベルベット
第18回(1993年) ホクトベガ
第19回(1994年) ヒシアマゾン
第20回(1995年) サクラキャンドル
第21回(1996年) ダンスパートナー
第22回(1997年) エリモシック
第23回(1998年) メジロドーベル

国際競走指定後:
第24回(1999年) 日本の旗 メジロドーベル
第25回(2000年) 日本の旗 ファレノプシス
第26回(2001年) 日本の旗 トゥザヴィクトリー
第27回(2002年) 日本の旗 ファインモーション
第28回(2003年) 日本の旗 アドマイヤグルーヴ
第29回(2004年) 日本の旗 アドマイヤグルーヴ
第30回(2005年) 日本の旗 スイープトウショウ
第31回(2006年) 日本の旗 フサイチパンドラ

第32回(2007年) 日本の旗 ダイワスカーレット
第33回(2008年) 日本の旗 リトルアマポーラ
第34回(2009年) 日本の旗 クィーンスプマンテ
第35回(2010年) イギリスの旗 スノーフェアリー
第36回(2011年) イギリスの旗 スノーフェアリー
第37回(2012年) 日本の旗 レインボーダリア
第38回(2013年) 日本の旗 メイショウマンボ
第39回(2014年) 日本の旗 ラキシス
第40回(2015年) 日本の旗 マリアライト
第41回(2016年) 日本の旗 クイーンズリング
第42回(2017年) 日本の旗 モズカッチャン
第43回(2018年) 日本の旗 リスグラシュー
第44回(2019年) 日本の旗 ラッキーライラック
第45回(2020年) 日本の旗 ラッキーライラック
第46回(2021年) 日本の旗 アカイイト
第47回(2022年) 日本の旗 ジェラルディーナ
第48回(2023年) 日本の旗 ブレイディヴェーグ